増粘安定剤、増粘剤、安定剤、ゲル化剤の違いと具体例、用途

増粘剤は食品にとろみや粘り気を付けるためのもの、安定剤は食品に固さを与えて形が崩れるのを防ぐもの、ゲル化剤は液体をゲル化して固くするものです。この3つをまとめて、増粘安定剤と呼んでいます。このほか、糊料、凝固剤、保形剤などもあり、違いが分かりにくいです。食品に加えることで、とろみや固さを付けるものを、整理しました。

増粘安定剤、増粘剤、ゲル化剤、安定剤の違い

増粘安定剤とは、液体に混ぜたとき、液体に溶解または分散して、液体にとろみや粘り気を生じる高分子物質のことです。増粘とは粘度を増すという意味で、安定剤というのは液体中の成分が沈澱したりせず、均一に分散している様子を指します。

剤という名前がついているので、食品添加物のように思われるかもしれませんが、食品添加物に限らず、食品の場合もあります。液体に入れてとろみや粘り気を生じる高分子物質は、すべて増粘安定剤です。増粘安定剤のことを、糊料(こりょう)と呼ぶこともあります。

増粘安定剤は、増粘剤、ゲル化剤(凝固剤)、安定剤に「分けられる」と書いてあることが多いのですが、厳密に分けられるということではなく、使用目的にあわせて便宜上、名前を変えているだけです。

その証拠に、同じ物質が、増粘剤としても、ゲル化剤としても、安定剤としても使われることがよくあります。ただ、物質によって、増粘効果が高いもの、ゲル化効果が高いもの、保水性や保形性など安定化効果が高いものなど、さまざまです。

増粘剤は、食品にとろみや粘り気を使う目的で使われるものです。あんかけで使われる片栗粉も増粘剤ですし、ソースなどにとろみをつけるために使われている食品添加物も増粘剤です。

ゲル化剤は、食品をゼリー状に固める目的で使用されるものです。増粘剤よりも固くなるイメージでしょうか。液体で流動性があるものを「ゾル」、流動性がないものを「ゲル」といいます。ゼリーが固まる前はゾル、固まった後はゲルで、固めるために入れるゼラチンはゲル化剤ということになります。ゲル化剤は、ジャムやようかんでも、使われています。

安定剤は、粘性を高めて食品成分を均一に安定させるたり、食品の形が崩れないようにしたり、食品から水分が出ていくのを防いだりする目的で使われるものです。安定剤はアイスクリーム、缶詰、惣菜など、さまざまな加工食品に使われています。

食品添加物の分類

増粘安定剤として使われるものは、ひじょうにたくさんありますが、食品として分類されないものは、食品添加物の扱いになります。

日本で使用が認められている食品添加物には、指定添加物、既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物の 4 種類があります。

食品添加物として使用が認められている時点で、安全であることは間違いないのですが、このどれに分類されているかで、その物質の安全性について国がどう考えたのか、ある程度理解することができます。

指定添加物は食品衛生法第12条に基づき、厚生労働大臣が定めたもので、安全性について、食品安全委員会の評価を受けたうえで、個別に指定されたものです。つまり有害危険性がある可能性があったため、食品安全委員会で評価を受けたということになります。さらに指定添加物の中には、食品への添加量や一日摂取許容量など、使用基準が設定されているものがあります。使用基準があるということは、有害危険性が高いということになります。

既存添加物は平成7年に食品衛生法改正以前から、日本で広く使用されてきたもので、安全性には問題ないと考えられています。

一般飲食物添加物は、通常食品として食べられているものを添加物として使用する場合です。こちらも長年の使用実績から、安全性には問題ないと考えられています。

なお、食品添加物のリストに掲載されている物質の中には、日本でほとんど使われていないものもあります。これは海外で食品添加物として使われているものも、リストに掲載しているためです。次の項以降では、日本で比較的よく使われる増粘安定剤について、紹介していきます。

増粘安定剤

植物由来で長年使われてきた増粘安定剤

植物(海藻を含む)から採れ、長年食用にされてきた増粘安定剤について、その原料、取り扱い、用途、安全性について説明します。

片栗粉

ジャガイモから採ったでんぷんです。増粘剤、安定剤としての効果があります。

食品として扱われます(原材料として表示されます)。安全性は ◎ です。

タピオカ粉

キャッサバという植物の根茎から採ったでんぷんです。キャッサバは芋として、ブラジルや東南アジアで食用にされています。またタピオカ粉に水を加えて固めたものが、タピオカティーに入っているタピオカパールです。増粘剤としての効果があります。

食品として扱われます(原材料として表示されます)。安全性は ◎ です。

 

トレメルガム(別名:白キクラゲ抽出物)

白キクラゲから抽出された多糖類です。冷凍食品や調理食品、デザートの食感改良、賞味期限延長のために、増粘剤、安定剤としての効果を発揮します。

食品として扱われます(原材料として表示されます)。安全性は ◎ です。

寒天

海藻の仲間である紅藻類のテングサから不純物を取り除いて乾燥させたもので、アガロースやアガロペクチンなどの多糖類が主成分です。90 ℃以上のお湯に溶け、35~40 ℃で固まります。固めたものを冷凍すると離水します。寒天、ところてん、水ようかん、杏仁豆腐の原料になります。

食品添加物の場合は、ゲル化剤、増粘剤、製造用材として使われます。一般飲食物添加物に分類され、安全性は ◎ です。

海藻セルロース(別名:セルロース)

海藻を、乾燥、粉砕して得られたセルロースです。増粘剤、安定剤として使われます。

一般飲食物添加物で、安全性は ◎ です。

褐藻抽出物(別名:褐藻粘質物)

海藻の一種である褐藻類のアラメ、オキナワモズク、コンブ、ワカメなどから水で抽出して得られたものです。主成分はポリウロンおよび硫酸多糖です。増粘剤、安定剤として使われます。

一般飲食物添加物で、安全性は ◎ です。

ペクチン

サトウダイコン、柑橘類やりんごの果皮から酸で抽出したもので、メチル化ポリガラクチュロン酸という多糖類が主成分です。90 ℃以上のお湯に溶けます。

メチルエステル化されている割合の違いによって、高メトキシル(HM)ペクチンと低メトキシル(LM)ペクチンに分けられます。HMペクチンは強酸性(pH 2.5 以下)かつ高糖度(55~80 %)で固まる性質があり、pHが低く、糖度が高いほど、早く固まります。ゲル化が始まる温度は60〜80 ℃とかなり高く、固める液体をあらかじめ加熱しておく必要があります。高糖度のジャムに使われているのは、HMペクチンです。

LMペクチンはカルシウムやカリウムなどのミネラルによって固まるペクチンで、酸性から中性(pH 3.2〜6.8)で固まります。またゲル化が始まる温度は30〜40℃は低いので、ペクチンを加えたのちに固める液体を冷蔵庫で冷やします。フルーチェに使われているペクチンはこれで、牛乳に含まれるカルシウムで固まります。また低糖度のジャムはHMペクチンでは固まらないので、LMペクチンを使用します。

これ以外には、クリームチーズなどの乳化剤として使われます。既存添加物で、安全性は ◎ です。

 

グァーガム

マメ科の植物であるグアー豆から取り出した多糖類です。グアー豆はクラスタ豆とも呼ばれ、インドで食用にされています。ゲル化剤、増粘剤、安定剤として使われます。

既存添加物で、安全性は ◎ です。

グァーガム酵素分解物

マメ科の植物であるグアー豆を粉砕し、酵素で分解して得られた多糖類です。ゲル化剤、増粘剤、安定剤として使われます。

既存添加物で、安全性は ◎ です。

カロブビーンガム(別名:ローカストビーンガム)

マメ科の常緑樹であるカロブ(別名:イナゴマメ)の種子から取り出した多糖類です。カロブは古来から地中海地方で食用にされてきました。アイスクリーム、シロップ、プリンに増粘剤、安定剤、ゲル化剤(カラギナンとの併用)として使われます。

既存添加物で、安全性は ◎ です。

グルテン

小麦に含まれるたんぱく質を精製したもので、麩の原料として食用にされています。またセイタンという代替肉(ベジミート、グルテンミート)の原料にもなります。乾麺、パンなどに増粘安定剤として使われます。

一般飲食物添加物です。特定原材料 9 品目のひとつ(小麦)で、安全性は △ です。(一部の人にアレルギー反応を起こします)。

こちらの記事もあわせてご覧ください。

 

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コンニャクイモ抽出物(別名:グルコマンナン)

サトイモ科コンニャクの根茎を、乾燥、粉砕後、含水エタノールで洗浄して得られたもの、またはこれを水で抽出して得られたもので、グルコースとマンノースで構成される多糖類です。増粘安定剤、製造用材として使われます。

一般飲食物添加物で、安全性は ◎ です。

サツマイモセルロース(別名:セルロース)

サツマイモの塊根より得られたもので、主成分はセルロースです。製造用剤、増粘安定剤として使われます。

一般飲食物添加物で、安全性は ◎ です。

ダイズ多糖類(別名:ダイズヘミセルロース)

大豆の種子から得られた多糖類で、主成分はヘミセルロースです。製造用剤、増粘安定剤として使われます。

一般飲食物添加物で、安全性は ◎ です。

ナタデココ(別名:醸造セルロース、発酵セルロース、セルロース)

酢酸菌による培養で糖類から生産された物質で、純粋なセルロースです。ナタデココはフィリピンで長年食用にされてきました。増粘安定剤、製造用剤として使われます。

一般飲食物添加物で、安全性は ◎ です。

 

マンナン

こんにゃく芋や海藻などに多く含まれる、マンノースを主な構成成分とする多糖類です。増粘安定剤として使われます。

一般飲食物添加物で、安全性は ◎ です。

アルギン酸

コンブなどの褐藻から抽出した多糖類で、水に溶けません。即席めんやパンに増粘剤として、ドレッシングの安定剤として、アルギン酸ナトリウムと同様にゲル化剤として用いられます。

既存食品添加物で、安全性は 〇 です。

アルギン酸ナトリウム

海藻のうち、コンブ、ワカメ、ひじき、モズクなどの褐藻類から抽出した多糖類で、無味無臭の白色の粉末です。

アルギン酸ナトリウムの水溶液を、カルシウム塩を含む水溶液の中に垂らすと、室温で球形や紡錘形のゲル(ゼリー状の物質)を作ることができます。ゲル化は、カルシウム塩と接触する球の表面だけで起こり、内部は液体のままです。またこのゲルは加熱しても溶けません。この技術を使って、人工いくら、人工ふかひれ、ポッピングボバ(コーティングジュース)などが作られています。

指定添加物で、安全性は 〇 です。

アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム

コンブなどの褐藻類から抽出した多糖類です。増粘剤として使われますが、アルギン酸ナトリウムよりは使用頻度は少ないです。

指定添加物で、安全性は 〇 です。

トロロアオイ

トロロアオイはアオイ科トロロアオイ属の植物で、花オクラとも呼ばれます。この植物から採取された粘液が使われます。かまぼこやそばのつなぎとして、増粘剤、安定剤として用いられます。また和紙の製造にも使われます。

既存添加物で、安全性は ◎ です。

動物由来で長年使われてきた増粘安定剤

ゼラチン

牛の骨、皮などの成分であるコラーゲンを加熱して抽出したもので、たんぱく質が主成分です。少し黄色味かがった粉末で、純度の高いものは無味無臭です。ゲル化剤、増粘剤、安定剤として使われます。一般飲食物添加物に分類されます。また、アレルゲンを含むため、特定原材料に準ずるもの(推奨表示)20 品目のひとつで、一部の人にアレルギー反応を起こします。

溶かすときは、ゼラチンの 4~5 倍量のお湯に少しずつ溶かします。ゼラチンの粉末を一度に入れると、ダマになって溶けなくなります。また冷たい水には溶けません。また必ず、50~60 ℃のお湯に溶かす必要があります。ゼラチンの主成分はたんぱく質なので、60 ℃よりも高い温度にしてしまうと、たんぱく質が変性して固まりにくくなります。また固めたものを冷凍すると、離水(=水分が抜けること)することがあります。

ゼリー、ババロア、ムース、マシュマロなどの菓子類や、ハム、ソーセージ、テリーヌなどの総菜にも使われます。

ゼラチンはたんぱく質なので、たんぱく質分解酵素を含む果物や果汁を加えると、固まりません。具体的には、パイナップル、キウイ、パパイヤなどです。これらを使う場合は、果物や果汁をあらかじめ加熱しておくと、酵素が失活するので固まります。また缶詰は製造段階で加熱しているため、酵素が失活しており、問題なく使うことができます。

 

レンネツトカゼイン(別名:カゼイン、乳たん白)

牛乳に含まれるたんぱく質の一種を精製したものです。主にピザ用イミテーションチーズやプロテインサプリメントの原料として使用されます。増粘安定剤として使われます。

一般飲食物添加物で、特定原材料 9 品目のひとつ(乳)です。安全性は △です。(一部の人にアレルギー反応を起こします)。

植物由来だがこれまで食用にされてこなかった増粘安定剤

アラビアガム

マメ科の常緑樹であるアカシアから採れる樹脂を原料とする多糖類です。乳化剤、安定剤として使われます。粘性が低いため、増粘剤としては使われません。

既存添加物で、安全性は ○ です。

カラギナン(別名:加工ユーケマ藻類、精製カラギナン、ユーケマ藻末)

海藻の仲間である紅藻類のヤハズツノマタ、コトジツノマタに含まれる成分を取り出したもので、ガラクトースとアンヒドロガラクトースなどからなる多糖類が主成分です。90 ℃以上のお湯に溶け、30~45 ℃で固まります。また冷凍することができます。ゼリー、プリン、水ようかんなどを作るときにゼラチンや寒天の代わりに使うことができます。

既存添加物で、ゲル化剤、増粘剤、安定剤として使われます。安全性は ○ です。

食品成分の化学反応や精製で作られる増粘安定剤

アルギン酸プロピレングリコールエステル

コンブなどの褐藻類から抽出したアルギン酸に化学薬品を反応させてエステル化したものです。乳化剤、安定剤、増粘剤として使われます。

指定添加物で、安全性は 〇 です。

グルテン分解物

小麦に含まれるたんぱく質を精製し、酸などで加水分解したものです。麺、パンなどに増粘安定剤として使われます。

一般飲食物添加物で、特定原材料 9 品目のひとつ(小麦)です。安全性は △です(一部の人にアレルギー反応を起こします)。

加工でんぷん

加工でんぷんと表示されるものには、12種類あり、製法・特性・用途が異なります。本来なら、それぞれの化学物質名で表示しなければならないのですが、指定添加物として指定される以前から使われていたとの理由から、加工でんぷんという一括表示が認められています。いずれも指定添加物で、安全性については △ です。下のリストは 50 音順です。

こちらの記事に詳しい説明がありますので、あわせてご覧ください。

 

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(1) アセチル化アジピン酸架橋デンプン(表示名:加工でんぷん)

でんぷんに無水酢酸と無水アジピン酸を反応させて作られます。かまぼこや魚肉ソーセージなどの水産練製品やソーセージ、ハンバーグなど畜肉製品の弾力性向上などに増粘剤、安定剤、製造用剤として使われます。

(2) アセチル化酸化デンプン(表示名:加工でんぷん)

でんぷんに次亜塩素酸ナトリウムと無水酢酸を反応させて作られます。たれ類の安定性向上や、グミキャンディーのボディー剤として、増粘剤、ゲル化剤、安定剤、製造用材として使われます。

(3) アセチル化リン酸化架橋デンプン(表示名:加工でんぷん)

でんぷんにオキシ塩化リン、トリメタリン酸、無水酢酸、酢酸ビニルなどを反応させて作ります。みたらし団子のたれ、レトルト食品のソースなどに増粘剤、安定剤、製造用材として使われます。

(4) オクテニルコハク酸デンプンナトリウム(表示名:加工でんぷん)

でんぷんに無水オクテニルコハク酸を反応させて作ります。ドレッシングの乳化剤、安定剤、製造用材として使われます。

(5) 酢酸デンプン(表示名:加工でんぷん)

でんぷんに無水酢酸または酢酸ビニルを反応させて作ります。たれ類の増粘剤、冷凍めんの安定剤として使われるほか、製造用材としても使われます。

(6) 酸化デンプン(表示名:加工でんぷん)

でんぷんを次亜塩素酸ナトリウムで酸化処理して作ります。スナック菓子、せんべい、フライの衣、天ぷら粉に増粘安定剤、製造用材として使われます。

(7) デンプングルコール酸ナトリウム(表示名:加工でんぷん)

製造方法は不明です。増粘安定剤として使用が認められていますが、使用例は見つかりませんでした。医薬品用途では錠剤を固める目的で、化粧品用途では結合剤、皮膜形成剤などとして使われています。

(8) ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン(表示名:加工でんぷん)

でんぷんにトリメタリン酸ナトリウムまたはオキシ塩化リンを反応させて作ります。冷凍食品、チルド食品、たれ、ソース類の賞味期限延長のため、安定剤、製造用材として使われます。EUでは乳幼児向け食品への使用を禁止されています。

(9) ヒドロキシプロピルデンプン(表示名:加工でんぷん)

でん粉と酸化プロピレンを反応させて作ります。冷凍食品やパンの賞味期限延長のために、安定剤、製造用材として使われます。EUでは乳幼児向け食品への使用を禁止されています。

(10) リン酸架橋デンプン(表示名:加工でんぷん)

でんぷんにトリメタリン酸ナトリウムまたはオキシ塩化リンを反応させて作ります。スナック菓子、てんぷら粉、パン、かまぼこや魚肉ソーセージの食感改良のため、増粘剤、安定剤、製造用材として使われます。製造・使用にあたってのルールが定められています。

(11) リン酸化デンプン(表示名:加工でんぷん)

でんぷんをオルトリン酸、オルトリン酸カリウムなどと反応させて作ります。冷凍食品、チルド食品、ソース類、フィリング類の賞味期限延長のため、増粘剤、安定剤、製造用材として使われます。

(12) リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン(表示名:加工でんぷん)

でんぷんとオルトリン酸、オルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、およびオキシ塩化リンやトリメタリン酸ナトリウムなどを反応させて作ります。冷凍食品、チルド食品、たれ、ソース類の賞味期限延長のため、増粘剤、安定剤、製造用材として使われます。

 

 

食品以外の原料から化学反応等で作られる増粘安定剤

メチルセルロース

木くずなどから抽出したセルロースをアルカリ処理し、塩化メチルと反応させて作ります。フライ製品のパンク防止や衣剥がれの防止、製パン際の保形性や保水性の向上、グルテンや卵白の代替のために、増粘剤、ゲル化剤、安定剤として使用されます。

指定添加物で、使用基準があります。安全性は △ です。

カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)

木くずなどから抽出したセルロースをクロロ酢酸と化学反応させて作ります。アイスクリームやヨーグルト、生菓子などの増粘剤、乳化剤、安定剤として使われます。

指定添加物で、使用基準があります。安全性は △ です。なお、カルボキシメチルセルロースカルシウムもほぼ同様です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

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ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)

木くずなどから抽出したセルロースに、塩化メチル、プロピレンオキシドといった化学薬品を反応させて作ります。パンの保形性向上、フライのパンク防止、ソース類の離水防止のために、安定剤、増粘剤、ゲル化剤として使われます。

指定添加物ですが、使用基準はありません。安全性は △ です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

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微小繊維状セルロース

木くずなどから抽出したセルロースを、機械的な方法あるいは酸による分解によって、繊維を細かくして得られたものです。加工食品の保形、離水防止のための安定剤や、食感改良のための増粘剤、日本酒をろ過する際の製造用材として使われます。

既存添加物で、安全性は △ です。

繊維を細かくする過程で、繊維の径が 0.1 μm(= 100 nm)以下と、非常に小さくなっている場合があります。このレベルのサイズの物質はナノ物質と呼ばれ、小さいが故の特有の特性を示すことがあります。そのため、独自の健康影響評価が必要といわれていますが、それをあいまいにしているケースもあります。

ポリアクリル酸ナトリウム

化学物質のプロピレンを原料に化学反応で作ります。この物質は高吸水性高分子で、紙おむつや生理用品に使われていますが、増粘剤として使用することが認められています。

指定添加物で、安全性は × です。大量に摂取した場合、消化器系に悪影響を及ぼします。

キサンタンガム

でんぷんを原料にして、タンクの中でキサントモナス属の微生物が生産した多糖類です。ドレッシング、佃煮、たれ類、いかの塩辛などに増粘剤、ゲル化剤、安定剤として使われます。

既存添加物で、安全性は ○ です。

カードラン

アグロバクテリウムという名前の微生物による発酵で、タンクの中でグルコースから作られる増粘多糖類で、無味無臭の粉末です。水には溶けず、アルカリに溶けます。

水への分散液を 80 ℃以上に加熱すると、溶けないゲルができ、60 ℃以上に加熱した後冷やすと溶けるゲルができます。また、耐熱性や冷凍解凍耐性があり、加熱や中和などによりさまざまなタイプのゲルを作ることができるので、食品の品質改良や卵などアレルギー素材の代替に用いられます。

具体的には、めん類、水産練り製品、食肉加工品、惣菜類、たれ、ドレッシングなどの増粘剤、安定剤として、ゼリーや豆腐のゲル化剤として使われるほか、卵アレルギーの人向けの卵白の代替にも使われます。

既存添加物で、安全性は 〇 です。

デキストラン

ショ糖(砂糖)を原料にして、タンクの中で乳酸菌などが生産する多糖類です。増粘安定剤として使用が認められていますが、日本では使用例が見当たりませんでした。

既存添加物です。安全性については、情報がないため判断できません。

まとめ

  • 増粘剤は食品にとろみや粘り気を使う目的で使われるもの、ゲル化剤は食品をゼリー状に固める目的で使われるもの、食品成分を均一に安定させたり、食品の形が崩れないようにするのが安定剤で、これらをまとめて、増粘安定剤または糊料と呼びます。
  • 食品添加物には、指定添加物、既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物の4種類があります。食品添加物として使用が認められている時点で、安全なのですが、その原料、製造方法、使用基準などを見ると、積極的に使わないほうがよいと考えられるものもあります。
  • 増粘安定剤として使用される食品、食品添加物には、多くの種類があり、原料・製法もさまざまです。