グルテンとグルテンフリーの解説とグルテンフリー生活のすすめ

グルテンフリーをふだんの食生活に取り入れる人が増えています。グルテンは小麦などに含まれるたんぱく質の一種ですが、特殊な構造を持ち、からだに悪影響を及ぼすことが明らかになりました。グルテンの正体、グルテンフリーの正しい意味と効果、目的に合わせたグルテンフリーの進め方を、最新の医学情報に基いて、わかりやすく解説します。

グルテン

グルテンは小麦などに含まれるたんぱく質

グルテンは、小麦など含まれるたんぱく質です。たんぱく質なら、からだに有益なのでは、と思うかもしれませんが、実はそうではありません。グルテンは栄養価が低いうえに、からだにいろいろな問題を起こす、ちょっと特殊なたんぱく質なのです。

具体的にどんなものか見ていきましょう。パンや麺の生地を作るとき、小麦粉に水を加えてこねます。もともと小麦粉はサラサラですが、水を加えてこねると生地に粘り気が出て、こねればこねるほど、粘り気が強くなります。これは生地の中にグルテンが作られるためです。

グルテンが作られるとは、どういう意味でしょうか。グルテンは小麦粉に含まれているグリアジンとグルテニンという2種類のたんぱく質に水が加わって混じりあうことでできる物質なのです。小麦粉にはたんぱく質が 8~13 %含まれており、そのたんぱく質の 42 % がグリアジン、42 % がグルテニンです。グリアジンとグルテニンが合わさってグルテンができるので、小麦粉に含まれるたんぱく質の 84  %がグルテンということになります。つまり、小麦粉には 7~11 %のグルテンが入っているということになります。

グリアジンはたんぱく質の成分であるアミノ酸が、鎖のように一直線につながっています。そのため伸びやすい性質があり、また強い粘着力を持っています。もう一つのグルテニンは多数のアミノ酸でできた複数の鎖が部分的につながった構造をしており、強い弾力がある一方で、伸びにくいという特性があります。

このグリアジンとグルテニンが合わさって作られたグルテンには

  • 網目状
  • 伸びやすい
  • 弾力がある
  • 粘着性がある

という性質があります。そのため、ふっくらとしたパンが焼けたり、コシのある麺ができるのです。

ところで麦と名前の付く穀物はいろいろありますが、グルテンが含まれているのは、小麦、大麦、ライ麦とその交雑種だけです。交雑種というのは、2種類の植物を交配させたもので、ライ小麦などがありますが、日本ではほとんど流通していません。もち麦押麦は大麦の品種あるいは加工品なので、グルテンは含まれています。また古代小麦スペルト小麦には、グルテンが入っていない(あるいは、含まれている量が少ない)といった記事を見かけますが、グルテンの量はふつうの小麦とほとんど同じです1)

グルテンは小麦粉で作られたパンやめんに、乾燥重量で 7~8 % 含まれています2)。例えばそうめん1人前(1束)は 100 g なので、そうめんを1人前食べると、だいたい 8 g のグルテンを摂ることになります。

 

 

ところでほぼグルテンでできている食べものがあるのですが、ご存じでしょうか。それは麩(ふ)です。小麦粉から取り出したグルテンに小麦粉やもち粉を加えて茹でると生麩、焼くと焼き麩、茹でた後に乾燥すると乾燥麩になります。
グルテンは小麦粉から簡単に取り出すことができます。こちらの記事に写真付きで解説しています。

グルテンのよい性質

グルテンは、網目状で、伸びやすく、弾力があり、粘着性があることを説明しました。小麦粉から作られる食べものの中でも、特にパンと麺は、この性質を活かすことで、その品質が保たれています。

パンはパン生地をイースト菌で発酵させて、膨れてから焼きます。このパン生地は小麦粉の中でもグルテンを多く含む強力粉に水、塩、砂糖などを加えてこねることで作られます。塩を加えるのは、グルテンができやすくするため、砂糖を加えるのはイースト菌が増殖する際の栄養源にするためです。

十分にこねた生地の中に網目状のグルテンが作られているため、発酵の際にイースト菌が作った炭酸ガスが生地の中に閉じ込められ、パン生地が膨らみます。このように、ふっくらとした柔らかいパンを作るのに、グルテンは欠かせません。

小麦粉から作られる麺も、伸びやすく、弾力があり、粘着性があるというグルテンの性質を使っています。麺の原料となるのは、小麦粉の中でもグルテンがやや多い中力粉です。中力粉に水と塩を加えてこねることで生地を作り、それを薄く延ばして切ることで、麺を作ります。麺の生地の中にも、網目状のグルテンができ上っているため、コシがあり、細くしても切れにくい麺に仕上がるのです。

グルテンの悪い性質

グルテンがからだにいろいろな問題を起こすことが知られるようになったのは、1940 年ごろです。最初はそれは一部の人だけへの影響だと思われていましたが、2000 年を過ぎたころから、実は多くの人にいろいろな影響を及ぼしている可能性が指摘されるようになりました。現在では、次のような性質が問題にされています。

人間の消化酵素で分解されにくい

通常たんぱく質は、胃酸と胃液と膵液に含まれる消化酵素で、その構成単位であるアミノ酸に分解され、小腸で吸収されます。小腸で吸収されたアミノ酸は体内でたんぱく質として合成され、筋肉、内臓、皮膚などのからだの構成成分になるほか、ホルモンや酵素といったからだの調節をするための成分としても使われます。

たんぱく質というと、肉、魚、乳製品に含まれる動物性たんぱく質や、大豆に含まれる植物性たんぱく質が代表的ですが、これらのたんぱく質は胃酸と消化酵素で割と簡単に分解されてアミノ酸になり、体内に吸収されます。一方、グルテンはその構造から、消化酵素で分解されにくいことがわかっています3)完全に分解されないまま小腸に到達し、粘着性があるため腸内に留まり続けることや、グルテンの破片が体内に吸収されて体内で作用することで、さまざまな問題が起きることがわかっています。

例えばグルテンが分解されてできるグリアジン33-merという破片は、人間の尿からも検出されています。体内に吸収されて、分解もされないということです8)

アレルギー反応を起こす原因になる

アレルギー反応というのは、からだの中に入ってきた物質を人間の免疫系が異物と勘違いして、それを排除するために起こす炎症反応のことです。花粉症の症状を思い浮かべてください。花粉症は花粉に含まれるたんぱく質が原因で起きるアレルギー反応です。グルテンを構成するグリアジンとグルテニンは、一部の人に対して、アレルギー反応を起こすことがわかっています4)。例えば先ほど説明したグリアジン33-merは、小腸で遅延型アレルギー反応を起こし、小腸の絨毛細胞を破壊します8)

腸のバリア機能を壊す

人間の腸には、病原性微生物や異物が体内に侵入するのを防ぐためのバリア機能がありますが、グルテンはこれを壊すことで、通常は体内に入らない物質の侵入を許してしまうことがわかっています5)。この状態をリーキーガットといいます。通常は体内に入らない物質の中には、最初に説明したグルテンの破片も含まれています。

リーキーガットで起きる可能性が指摘されている症状としては、慢性的な下痢、便秘、腹部膨満(鼓腸)、倦怠感、頭痛、錯乱、集中力の低下、にきび、発疹、湿疹、関節痛、広範囲にわたる炎症などがあります。

グルテンフリー

グルテンフリーの意味

グルテンフリーというのは、食品にグルテンが含まれていない、すなわちグルテンの量がゼロという意味ではありません。アメリカの場合は、食品 1 kg に含まれるグルテンの量が 20 mg 未満のとき、Gluten-free と表示することができます。この数値は、後ほど説明するセリアック病の患者さんが摂取しても、健康上問題がない量として決められました。つまり、「セリアック病の人が食べても大丈夫」な食品に、目印としてつけられているのが、グルテンフリーなのです。

グルテンは一部の人に対してアレルギー反応を起こすことを説明しました。グルテンが関わるアレルギー反応はいくつかありますが、食べものとして体内に入ったグルテンを排除するために免疫系が働き、小腸の細胞を傷つけてしまうのがセリアック病です。日本ではあまりなじみがありませんが、南北アメリカ、ヨーロッパ、オセアニアではよく見られる病気で、100人に1人の割合で患者さんがいるといわれています。

セリアック病には根本的な治療法がありません。症状を悪化させないためには、生涯にわたってグルテンの入っていないものを食べ続ける必要があります。そのセリアック病の人が食べても大丈夫な食べ物が、グルテンフリーの表示をされた食べものです。

グルテンフリーの表示

海外の食品スーパーやレストランでよく見かける “Gluten-free” の表示は、セリアック病の人が食べても大丈夫という意味です。では具体的に、どのような食べ物に “Gluten-free” の表示がされているのでしょうか。

セリアック病の人は、食べものに含まれるグルテンの量を1日50mg以内にする必要があるといわれています7)。これをもとにアメリカでは、食品1kg中に含まれるグルテンの量が20mg未満(濃度でいうと20ppm未満)の場合に、グルテンフリーという表示をしてよいと決められています。なおグルテンフリーの表示基準は国ごとに決めらているので、国によって若干の違いはあります。

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グルテンフリーの表示は、各国とも、製造販売業者が自主的に行っているものです。そのため表示する・しないは、業者の自由なので、グルテンが含まれていない食品で、グルテンフリーの表示をしていないものはたくさんあります。あくまで、セリアック病の患者さんの便宜を図る目的で行っているものなのです。ただ最近は、グルテンフリー食品の方が健康的であると考える人が増えているため、グルテンフリーの表示をした方が、よく売れるというのも、理由のようです。

ところで日本にはグルテンフリーの表示ルールはありません。アメリカの場合、グルテンが20ppm以上入っているのにグルテンフリーの表示をした場合は、不当表示となり、悪質な場合は業者名や商品名が公表されますが、日本の場合は処罰の根拠になる法律そのものがないので、結局、何もできません。国内で販売されている商品のグルテンフリー表示とは、そういうものだと思っておいた方がよいでしょう。

あなたに合ったグルテンフリー生活

いまグルテンフリーが注目され、多くの人がグルテンフリーの食生活にチャレンジしていますアメリカでは成人の3人に1人が、グルテンフリー食材を摂りたいと考えているという調査結果もあります6)。もともと、セリアック病の人のための治療食であったグルテンフリー食が、人気を集めている理由は何でしょうか。

一つは、セレブやスポーツ選手がグルテンフリー生活をしていることが雑誌などで紹介され、その姿へのあこがれが理由といわれています6)。セレブやスポーツ選手の体型から、ダイエットにも効果があると考えている人も多いようです。
もう一つは、グルテンによるからだへの悪影響を回避し、健康な生活を送りたいと考える人が増えているからです。世の中は健康ブームです。誰もがいつまでも若々しく、元気で過ごしたいと考え、日々、情報収集に励んでいます。その中でグルテンフリーのメリットに気づき、グルテンフリーにチャレンジしているようです。

ただ、すでに述べたように、グルテンフリーというのは、セリアック病の人が食べても大丈夫、という目印です。そのため、すべての人が、この厳格なルールを守るのは無意味です。目的に合わせて、楽なやり方を選ぶべきです。

全身症状を改善するためのグルテンフリー

グルテンが関係していると思われる症状としては、慢性疲労、もやもや感、抑うつ、しびれなどがあります。しかし、これらの症状は複数の要因が複雑に絡み合って発生していることが多いため、原因を特定することは極めて困難です。

全身症状の中には、セリアック病の症状も含まれるので、次のような対応をお勧めします。
まず 3 週間、厳密なグルテンフリーの食生活、すなわち、小麦、大麦、ライ麦が使われているものは、一切食べない、という生活を送ってください。もし、グルテンが原因でからだに不調が起きているなら、何らかの変化が見られるのではないかと思います。

次の段階は、グルテンの量を段階的に増やして、体調に変化があるかも注意深く観察してください。まずは、ふつうのお醤油(ごく微量のグルテンが残存している可能性がある)だけを解禁する生活を、2 週間ほど続けてください。ほとんどの場合、何の変化も起きないと思いますが、まれに、元の状態に戻る場合があります。この場合は、セリアック病の疑いがありますので、セリアック病の診断ができる病院(日本では信州大学病院)を受診することを強くお勧めします。

ほとんどの人は体調に変化はないと思うので、この後、解禁する食品の量と種類を、少しずつ増やしてみてください。必ず 2 週間以上の単位で行い、詳細な記録を残すとともに、体調に変化が見られたら、即座に中止し、ひとつ前の段階に戻す、という作業を地道に続けてください。

先ほども述べたように、全身症状は複数の要因が複雑に絡み合って発生しているため、グルテンを抜いたからといって、症状がよくなるとは限りません。ただ、要因の一つがなくなることで、症状が軽くなることもあります。またグルテンフリーにすることで、いままで多量に摂取していた食品添加物の摂取量が減り、それが理由で症状がよくなることもあります。

この作業は、グルテンフリーについて正しい医学的知識を持った管理栄養士、薬剤師などの管理の下で行うと、より効率的かもしれません。

そして、最終的にたどり着いた状態が、あなたにとって最適なグルテンフリー生活になります。セリアック病の患者さん向けのグルテンフリーより、はるかに楽に、グルテンフリーができると思います。

健康やダイエットのためのグルテンフリー

グルテンはなんとなくからだによくないイメージがあるので、グルテンフリーをしているという方も多いと思います。西洋型の食生活を送っていると、1日に5~15 gのグルテンを摂取しています。主な摂取源は、パン、めん類、お菓子類なので、これをごはん、米粉麺、小麦粉を使わないお菓子類に置き換えるだけで、1 日の摂取量を 1 g以下にすることが可能です。グルテンの害については、別の記事に詳しくまとめているので、こちらを見ていたたきたいのですが、現時点で思い当たる症状がない場合は、上記のようなグルテンフリーでも、十分でしょう。

グルテン以外にも、からだによくない成分はたくさんあります。グルテンを厳密に抜くよりも、これらの成分を摂らないようにする方が、健康になれると思います。

一方、ダイエット(体重や体脂肪を減らすこと)を目的としてグルテンフリーについては、筆者は賛成できません。なぜならグルテンフリーとダイエットは、直接関係ないからです。グルテンフリーの食生活を続けると、ほとんどの場合、体重が減ります。それは、炭水化物・糖質の摂取量が減ることや、食生活に気を使うようになり、カロリーの摂取量が減ることが理由です。

欧米では、グルテンフリーの食生活にすると、必要な栄養素が不足して体重が減るという研究例が複数あり、それを引用している人もいるようですが、これは全く的外れです。なぜならこれらの研究は、欧米でよく出回っているグルテンフリー代替食品を摂った場合の話で、そもそも日本ではそのような食品は入手困難です。日本でグルテンフリーの食生活は、ごはんとおかずを組合せた和食が中心となるので、栄養素が不足する心配はありません。

ですから、ダイエットのために、高いグルテンフリー食品を買うのは、全くの無駄です。食べる量を減らすことと、適度な運動をすることが、正しいダイエットのやり方です。

お腹の調子を改善するためのグルテンフリー

腹痛、下痢、腹部膨満感など、お腹の調子が悪いので、グルテンフリーを試してみたら、不調が改善されたので、グルテンフリーの食生活を続けている、という方は多いと思います。

お腹の不調にもいろいろなものがありますし、その原因も一つではありません。大腸に腫瘍や炎症などの器質的病変がないにもかかわらず、腹痛、下痢、腹部膨満感、便秘などが1か月以上続く場合、過敏性腸症候群(IBS)と診断されることがあります。過敏性腸症候群はよく見られる病気で、日本人の 10 人 に 1 人 が IBS です。

IBS は原因がよくわかっていませんが、消化・吸収が悪いものを食べると、症状が悪化することがあります。オーストラリアの大学が、IBS の症状を悪化させる食べものを FODMAP (フォドマップ)と命名しましたが、小麦も FODMAP の一つなのです。グルテンフリーにしたところ、お腹の不調がなくなったというのは、FODMAP の摂取量が減ったことが理由かもしれません。

小麦やグルテンは、なぜお腹の不調の原因になるのでしょうか。それは体質によって、グルテンを分解する能力が低い場合があるからです。もともとグルテンというたんぱく質は、分解されにくい構造をしています。

たんぱく質は消化酵素でアミノ酸に分解され、腸管壁から吸収されますが、分解されなかったグルテンは小腸で吸収されず、腸内細菌によって分解され、ガスに変わります。ガスへの分解は一気に進むため、急にお腹が張って苦しくなります。人によっては、腸内細菌の働きが悪く、グルテンを分解できないこともあります。その場合は分解されなかったグルテンが大腸の腸管壁を刺激して下痢を起こしたり、いつまでも大腸内に留まって、便秘の原因になったりします。

ただ、このような不調を起こすためには、まとまった量のグルテンが必要です。アレルギー反応は、微量のグルテンで起こりますが、微量のグルテンで腹部膨満や下痢が起きることはありません。つまり、お腹の調子を改善するために行うグルテンフリーでは、微量のグルテンまで除去する必要はないのです。

どこまでグルテンを除去すればよいかは、人によって違うので、一概には言えませんが、調味料に含まれる程度のグルテンは、そのまま摂取しても問題ありません。

アレルギー反応を起こさないようにするためのグルテンフリー

体質によっては、グルテンがからだにさまざまな悪影響を及ぼす場合があります。その中で、グルテンと症状との因果関係が解明され、対応策がはっきりわかっているのが、アレルギー反応です。グルテンが関係するアレルギー反応とは、具体的に小麦アレルギーとセリアック病です。小麦アレルギーは、小麦に含まれるたんぱく質の一部がアレルゲンとなって起きる、即時型アレルギーで、アレルゲンが体内に入ってから数分から数時間で、アレルギー反応が起きます。

セリアック病は、小麦、大麦、ライ麦に含まれるグルテンがアレルゲンとなって起きる、遅延型アレルギーで、食物に含まれるグルテンが小腸上皮細胞でアレルギー反応を起こし、最終的にこれを破壊してしまうことで、腹痛、下痢や栄養吸収障害に伴う全身症状が起きます。こちらはアレルゲンであるグルテンが体内に入ってから症状が現れるまで、数日から数週間かかります。

ご自分が小麦アレルギーやセリアック病という方は、お医者さんから診断を受けているはずです。症状は人によって違うので、お医者さんの指示どおりの食生活を送ってください。一般的には下の表に示す対応が取られることが多いです。

もし、ご自身で小麦アレルギーあるいはセリアック病だと判断されて、グルテンフリー生活をされている方がおられましたら、お医者さんを受診されることを強くお勧めします。食事からグルテンを抜くことで症状がよくなっていたとしても、別の病気の可能性もあります。その場合は、何らかの治療が必要になるかもしれません。さらに小麦アレルギーやセリアック病でなかったとしたら、厳密なグルテンフリーは必要なくなるかもしれません。

週末グルテンフリーは医学的に無意味

平日はグルテンが含まれるものをふつうに食べて、週末だけグルテンフリー生活をする、という食生活を提案している人がいますが、医学的に全く意味がありません。

小麦アレルギーの場合を除き、グルテンがからだに入ってから数日から数週間後に症状が現れます。週末の 2 日間だけストイックにグルテンを抜いたとしても、それまでにからだに入ったグルテンの影響が残っているので、ほとんど影響はないでしょう。

もうひとつ重要なことは、グルテンによる影響はからだに入ったグルテンの量に比例するということです。ふだんの生活でグルテンが多く含まれるパン、麺類、粉ものなどをできるだけ食べないようにすることが重要で、平日にパンやラーメンをガンガン食べている人が、週末だけ揚げ物や天ぷらの衣や、カレールーに含まれる小麦粉まで厳密に抜いたところで、からだに入るグルテンの量はあまり減りません。

レストランのグルテンフリーメニューや、スーパーのグルテンフリー食品(特に、通常は小麦粉が使われる食品の代替品)は、多くの場合、割高になっています。米粉などに比べて小麦粉の値段が安いことと、日本ではグルテンフリー食品に対する需要がそれほど多くないことが理由です。週末だけでも頑張ってグルテンフリーにしようという気持ちはよくわかりますが、せっかくお金を使うのであれば、その効果が科学的に説明できることに使ったほうがよくないですか。

グルテンフリーに対する誤解

日本でもグルテンフリーについて関心が高まるにつれて、いろいろな情報が出回っていますが、その中には明らかに間違っているものがあります。

グルテンフリーはダイエット法である

グルテンフリーの食生活をすると、結果的にダイエット効果はある場合が多いですが、グルテンフリーはダイエット法ではありません。痩せることが目的なら、別の食事法の方が効果的だと思います。

グルテンフリーは日本人には関係ない

日本にセリアック病の患者さんが少ないので、セリアック病の患者さんのための食事法であるグルテンフリーは関係ないという意味で、このように言われるのだと思います。ですが、グルテンが関係している病気・症状はセリアック病以外にも多数あります。グルテンフリーにすることで、これらの症状が軽減する可能性があります。

小麦アレルギーではないのでグルテンフリーは不要

グルテンは小麦アレルギーの原因の一つですが、グルテンが原因となる病気・症状は他にもたくさんあります。グルテンフリーにすることで、これらの症状が軽減される可能性があります。なおグルテン以外にも、小麦アレルギーの原因となるたんぱく質があることも、知っておいてください。

これ以外についてはこちらをご覧ください。

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まとめ

  • グルテンは、小麦、大麦、ライ麦に含まれる特殊なたんぱく質。グリアジンとグルテニンという2種類のたんぱく質が合わさってでき、網目状で、伸びやすく、弾力があり、粘着性がある。小麦粉には7~11%のグルテンが含まれている。
  • グルテンはパン生地が発酵する際に炭酸ガスを生地の内部に閉じ込めることで、ふっくらとした柔らかいパンを作る。また麺の生地にグルテンがあるおかげで、コシがあり、細くしても切れにくい麺を作ることができる。
  • グルテンには、人間の消化酵素で分解されにくい、アレルギー反応を起こす原因になる、腸のバリア機能を壊すといった悪い性質がある。
  • グルテンフリーとは、グルテンが原因で起きるアレルギーの一種であるセリアック病の患者さんが食べても大丈夫であることを示す目印である。
  • グルテンフリーの表示は製造販売事業者が独自の判断で行っているものだが、食品1kg中に含まれるグルテン量が20mg未満の場合に、グルテンフリーと表示できることが、一部の国ではルール化されている。日本にはグルテンフリーの表示に関する規則等はない。
  • もともとグルテンフリーの食事はセリアック病の人のための治療食であったが、ダイエット目的や健康目的でグルテンフリーにチャレンジする人が増えている。この場合、セリアック病の人のために作られたグルテンフリーの基準に必ずしも従う必要はない。

参考文献

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