ハト麦はグルテンフリーでデトックスやアンチエイジング効果が!?

ハト麦は麦という名前がついていますが、トウモロコシやススキに使い植物で、グルテンが入っていません。滋養強壮、利尿、消炎作用があり、デトックスやアンチエイジングに効果があるといわれています。お米と一緒に炊いて食べるほか、漢方薬のヨクイニンとしても使われます。ハト麦を食べることで、どのような効果が期待できるのか解説します。

ハト麦とは

ハト麦はロングセラーのブレンド茶である 爽健美茶 の原材料のひとつなので、名前を聞いたことがあるという方は多いでしょう。一方で、食べたことがあるという方は、少ないのではないかと思います。

ハト麦は、イネ科ジユズダマ属の穀物で、麦という名前がついていますが、小麦や大麦よりも、トウモロコシやススキに近い植物です。そのため、小麦、大麦、ライ麦に含まれるグルテンは入っていません。

ハト麦は中国、インドなどで、主食用やハトムギエキスの製造用に栽培されていますが、日本国内でも水田転作作物として栽培されており、国産のハト麦を入手することもできます。ちなみに現在の爽健美茶で使われているハト麦は、ラオス産です。

種子の大きさは玄米よりも大きく、殻と皮を取り除いたものが食用として売られています。国内生産はそれなりにされているようですが、多くは中国から輸入されているようです。

食用のハト麦の精白粒の価格をネットで調べてみました。

精白粒とは、ハトムギの殻と皮を取り除いたものです。100 gあたり 80 円から 300 円と、メーカーやパッケージの量によって差はありますが、だいたい 100 gあたり 250 円前後ではないかと思います。これは小麦粉の 7 倍、お米(精白米)の 3 倍とかなり高価です。

 

ハトムギの食べ方

ハトムギの食べ方としては、お米と一緒に炊いて食べる、というのが一般的です。

ただハトムギは種子が大きく、火が通るのに時間がかかるため、お米とは別に、一晩吸水させてから、鍋に入れて 30 分ほど煮込んで、これをごはんに混ぜて食べるという方法もあるそうです。煮込んだハトムギを小分けしておけば、いろいろな料理に使えるそうです。

ネットにはハトムギを使ったレシピがたくさん載っています。押し麦や豆に似ているので、使おうと思えば、何にでも使えます。しかし独特な苦みと臭いがあるそうなので、好き嫌いが分かれるようです。

 

ハト麦の栄養成分

日本食品標準成分表 2020年版(八訂)で調べた結果をまとめました。数値は可食部 100gあたりの重量です。また比較のために、お米(精白米)と玄米、小麦粉(薄力粉)の数値もあわせて掲載します。

 

ハトムギ 精白米 玄米 小麦粉
たんぱく質(g) 13.3 6.1 6.8 8.3
脂質(g) 1.3 0.9 2.7 1.5
炭水化物(g) 72.2 77.6 74.3 75.8
食物繊維 水溶性食物繊維 (g) 0 0 0.7 1.2
不溶性食物繊維 (g) 0.6 0.5 2.3 1.3
ミネラル カリウム (mg) 85 89 230 110
カルシウム (mg) 6 5 9 20
マグネシウム (mg) 12 23 110 12
鉄 (mg) 0.4 0.8 2.1 0.5
亜鉛 (mg) 0.4 1.4 1.8 0.3
ビタミン ビタミンB1 (mg) 0.02 0.08 0.41 0.11
ビタミンB2 (mg) 0.05 0.02 0.04 0.03
ナイアシン (mg) 0.5 1.2 6.3 0.6
ビタミンB6 (mg) 0.07 0.12 0.45 0.03

 

この表を見る限り、ハトムギは、精白米、玄米と比べるとたんぱく質を多く含んでいますが、それ以外の成分で精白米、玄米よりも 20 %以上多く含まれる成分はありませんでした。

ハト麦を販売している、あるJAのウェブサイトには、「ビタミンB1・B2、カルシウム、鉄、食物繊維も多く含むので、美と健康を気にする方にもお勧めします。」と書かれていますが、

  • ビタミンB1と鉄は精白米の半分
  • ビタミンB2は玄米とほぼ同じ
  • カルシウムは玄米の7割
  • 食物繊維は精白米とほぼ同じ

と、玄米や精白米より多く含まれるものはありませんでした。「多く含む」と書いているだけで、「お米より多く含む」とは書いていないので、ウソではありませんが、食品を販売する側の姿勢として、いかがなものかと思います。

ついでにこのページには、ハト麦の食べ方が紹介されています。それによるとお米 1 合(180ml)にハトムギを大さじ 2 杯(30ml)加えるのだそうです。お米と栄養成分がほとんど変わらないものに、わずか 15 %ほどハトムギを加えたところで、栄養成分的には何も変わらないと思います。

 

医薬品としての効果・効能

食品としてのハト麦の効果について説明する前に、医薬品としてのハトムギについて説明します。漢方薬として使われているということは、きちんとした効果・効能があるということです。ただ、ネット上の記事を見ると、ハト麦が何にでも効く「夢のくすり」であるかのような説明をしているものもあります。また、お薬には必ず「副作用」がありますので、これをよく理解したうえで正しく使わないと、大変なことになります。

ハト麦は漢方で「ヨクイニン(薏苡仁)」と呼ばれます。これはハト麦の皮を取り除いた種子で、食用に売られているものと全く同じです。このヨクイニンの成分を含んだ飲み薬(内服薬)があります(塗り薬はありません)。購入する際、医師の処方薬が必要な処方薬と、誰でもドラックストアで買える市販薬がありますが、成分、用法・用量はほとんど同じです。

処方薬の方が値段は安く、また健康保険が適用されますので、市販薬の1/5くらいの値段で入手することができます(診療代は別)。

ヨクイニンの飲み薬とは、次のようなものです。

  • 形状:錠剤または散剤(粉くすり)
  • 効能:青年性扁平疣贅、尋常性疣贅(いずれも、「いぼ」の一種です。詳しい説明はのちほどします)
    皮膚のあれ(処方薬にはこの効能はないため、保険適用になりません)
  • 用法・用量:ヨクイニンエキスとして 1 日 1~2 gを 3 回に分けて服用(ハト麦 13~26 gに相当します)
  • 副作用:少ないが、人によっては、胃の不快感、下痢、発疹、発赤、かゆみ、じん麻疹が起きることがある、
  • 薬価:1 日成人 1 人あたり、処方薬で 53~106 円(3 割負担だと 16~32 円)、市販薬で 150 円くらいになります。
  • 注意:ヨクイニンには子宮収縮作用があります。妊娠中の人は注意が必要です。

 

ヨクイニンに効能がある「青年性扁平疣贅」、「尋常性疣贅」というのは、簡単にいうと「いぼ」です。

青年性扁平疣贅(せいねんせいへんぺいゆうぜい)は、若い女性の顔や手足にできることが多い平らなイボです。尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)はこどもの手足にできる豆粒くらいの大きさのイボです。

いずれもヒトパピローマウイルスの感染が原因で起きるもので、他の人に移る可能性もあります。

イボには、ウイルスが原因でできる「水イボ」と呼ばれるものや、加齢や紫外線でできるイボもありますが、これらのイボにはヨクイニンは効果がありません。

ヨクイニンには、免疫細胞の1つであるナチュラルキラー細胞を活性化する作用があり、免疫機能を高めることで、ウイルスを死滅させるといわれています。このように、ヨクイニンは、基本はイボの原因になるウイルスを死滅させることで、ウイルス性のイボを治療するお薬です。

また、まれですが、胃の不快感、下痢、発疹、発赤、かゆみ、じん麻疹といった副作用もあります。また子宮を収縮させる作用があるので、妊娠中の人や生理痛が激しい人は、注意が必要です。

ついでに、ヨクイニンには塗り薬(外用薬)はありません。ヨクイニンやハトムギが入った塗り薬のような商品がありますが、これらは薬ではなく、化粧品です。化粧品は効果・効能を表示できません。つまり効果がない場合もあるということです。

食品としての効果・効能!?

ネット上の記事を見ると、ハト麦が持つ素晴らしい効果・効能がたくさん紹介されています。主なものは次の通りです。

 

・デトックスパワー
・利尿作用により体の余分や水分を排泄してむくみを解消
・吹き出物などの肌荒れやニキビに効果
・シミやソバカスを改善
・肌の保湿力を高める

 

このうち、デトックスパワーとむくみ解消は、ハト麦が持つ利尿作用によって尿の排泄が促されることを言っています。ただ、利尿作用がある食品は意外と多く、例えばコーヒーや日本茶に含まれているカフェインにも、利尿作用があります。ハトムギに利尿作用があるのは事実ですが、利尿作用を期待してハト麦を摂るのはどうかと思います。

また、皮膚の荒れに効果があるから、吹き出物、シミ、ソバカスや肌の保湿にも効果があると思われているようです。吹き出物、シミ、ソバカスの原因は複数あるので、ハト麦が適切かどうか、何とも言えません。

ハト麦を食品として摂ることで何かよい効果が得られれるのかどうかについては、正直わかりません。ネット上に書かれている作用は、民間療法で行っているような使い方をした場合、得られるかもしれませんが、日常生活で食べる程度の量で、その作用を得るのは難しいと思います。ハト麦の味が好きで食べるのはよいのですが、病気にかからないようにする、健康になるという目的で、小麦粉の 7 倍の値段のハト麦をわざわざ食べるのは無意味だと思います。

ハト麦を摂ることで効果が証明されているのは、医薬品の効果・効能のところで説明した、ウイルス性の、ウイルス性のイボの除去だけです。薬の量はハト麦を1日 13~26 g 食べるのに相当しますが、これはハト麦を 20% 混ぜたごはんを 1~2 杯食べるのとほぼ同じです。

栄養学的にみると、ハト麦にはお米の 2 倍のたんぱく質が含まれていますが、植物性のたんぱく質は消化・吸収がよくないので、たんぱく質を多く摂るためにハトムギを食べるのは、間違っています。

一方、ハト麦を多く食べると何か問題があるか、という点についても、ハッキリしたことはわかりません。ただ子宮収縮作用があるのは事実なので、妊婦の人や生理痛がひどい人は、あえて食べる必要はないでしょう。ただイボの治療薬として使うくらいの量なら、影響はないとの結果も出ています。

まとめ

ハト麦は、イネ科ジユズダマ属の穀物で、グルテンフリーの穀物です。殻と皮を取り除いたものが食用として売られており、お米と一緒に炊いて食べることが多いようです。

精白米、玄米、小麦粉と比べると、たんぱく質を多く含みますが、それ以外の成分については、同等かそれ以下の量しか、入っていません。植物性たんぱく質なので、たんぱく質を摂る目的でハト麦を食べるのは、お勧めできません。

ハト麦は、ヒトパピローマウイルスの感染が原因でできる「いぼ」の治療薬として使われています。漢方薬としての名前は「ヨクイニン」です。内服薬のみで、塗り薬はありません。まれに、胃の不快感、下痢、発疹、発赤、かゆみ、じん麻疹といった副作用があるほか、子宮収縮作用があるので、妊娠中の人には注意が必要です。

ハト麦には取り立てて素晴らしい栄養成分が含まれているわけではなく、栄養的にはたいした穀物ではありません。ネット上でいわれているデトックス、むくみ解消、吹き出物、ニキビ、シミ・ソバカスへの効果については、かなり疑問があります。