大谷翔平選手の成績を支えるグルテンフリー!? 食事のために受けた検査とは

MLB ロサンゼルス・ドジャーズの大谷翔平選手の活躍は、ふだん野球に関心がない人も知っています。二刀流で結果を出し続ける彼の姿には、多くの人が驚きと尊敬の念を抱いています。この素晴らしい結果の裏には、日々のメンテナンスがあることを忘れてはいけません。大谷選手は、なんと、グルテンフリーの食生活を送っているそうです。

大谷翔平選手はグルテンフリー実践者!?

筆者がグルテンフリーを知り、実践するようになったきっかけの一つは、プロテニスプレーヤーのノバク・ジョコビッチ選手の本を手にしたことです。

プロスポーツ選手で、グルテンフリーをしている人は少なくないようで、日本のプロ野球界でもオフシーズンになると、「○○選手がグルテンフリーで食事を改善」というニュースをたまに見かけます。

ネットの記事によると、

○ コロラド・ロッキーズ(元 巨人) 菅野 智之 選手

○ 広島 菊池 涼介 選手

○ 日本ハム 谷口 雄也 選手

○ 日本ハム 池田 隆英 選手

などが、グルテンフリーを取り入れているそうです。

そんななか、大谷選手がエンゼルスに所属していた2021年、前半戦でホームランを量産し始めたころ、「シーズン前に血液検査を受けて、自身のからだに合わない卵とグルテンを摂らないことにした」との記事を見かけました。

あの大活躍のうらに、グルテンフリーあり!

なんだか嬉しくなってしまいます。

 

 

大谷翔平選手が受けた血液検査ってどんなもの?

ところで、自身のからだに合わない食材を調べる血液検査って、どんなものなんでしょう?

この血液検査は、おそらく「IgE 抗体検査」ではないかと思われます。これは、特定の食物成分に対して、体の中に抗体ができているかどうかを調べるものです。もし、あなたのからだが卵の成分を、自分にとって「異物」、すなわち、排除すべき対象物と判断するならば、体内に卵に対する IgE 抗体ができます。卵を異物と判断しなければ、卵に対する IgE 抗体はできません。

ある食物成分を自分にとっての「異物」と判断しているということは、その食物成分があなたのからだに何らかの危害を与えている可能性もあります。危害といってもいろいろあり、症状が軽い場合もたくさんあります。

いちばんわかりやすい症状は、腹痛、腹部膨満感、下痢、便秘など、消化器系で見られるものです。集中力を必要とするスポーツ選手でこのようなことが起きると、パフォーマンス低下につながります。IgE 抗体検査で、卵に対する IgE 抗体の存在がわかったため、卵の摂取を控えるということは、理にかなっています。

なおグルテンに関する検査については、関連記事に詳しい説明がありますので、ご覧ください。

 

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プロスポーツ選手がグルテンフリーにするのはなぜ? パフォーマンスはあがるの?

からだが資本のプロスポーツ選手にとって、食事が大事なのはよくわかるのですが、お肉やプロテインで筋力アップするのと違って、グルテンフリーでパフォーマンスがあがるのは、いまいちイメージしにくいですよね。

もちろん筆者はグルテンフリーにすることによって、長年の不調から解放されたので、日常生活の質があがるのは実感しているのですが…。

プロスポーツ選手でグルテンフリーの食事を摂っている人は多いのですが、その一番の理由は、胃腸への負担の軽減です。

グルテンはもともと消化・吸収が悪いため、グルテンが入った食べものを大量に食べると、胃腸に負担がかかります。腸に長い時間とどまり続け、腸内細菌に分解されてガスが発生したり、腹痛や下痢を引き起こすこともあります。

 

 

さらに脳と腸は密接に関係しているため、お腹の不調がストレスを呼び、最高のパフォーマンスを発揮できません。オリンピックのメダリストを含む 910 人のアスリートを対象にした 2015 年の研究では、41 % がグルテンフリーの食事(半分以上をグルテンフリー食にしている場合も含む)を摂っているというデータがあります 1)。

プロスポーツ選手はわたしたちより、さらに精密に体調を管理しているので、グルテンフリーの効果も大きいのかもしれませんね。

スポーツ界ではさらに低 FODMAP に移行している?

最後に、グルテンフリーに関する海外の研究を、医学論文などでウォッチしている同僚が、低FODMAPについても教えてくれました。

なんでも、胃腸に負担をかける食材は、グルテンを含む小麦だけではないので、海外のスポーツ界では、グルテンフリーから低 FODMAP に移行する傾向があるそうです。

FODMAP というのは、オーストラリアの大学が提唱している概念で、消化・吸収されにくく、胃腸に負担をかけ、腹部膨満(ガスの発生)、腹痛、下痢、便通異常を引き起こす可能性がある、炭水化物の頭文字をとったものです。

F (Fermentable):発酵性の

O (Oligosaccharides):オリゴ糖

D (Disaccharides):二糖類

M  (Monosaccharides):単糖類

And

P (Polyols):ポリオール(多価アルコール、糖アルコール)

炭水化物は三大栄養素の一つですが、それを構成する最小単位である単糖類にまで分解されて、初めて小腸で吸収されます。ところが、炭水化物の中には、分解されにくかったり、分解されなかったりするものがあります。それらは、腸内細菌によって分解(発酵)されるのですが、体質によっては、それが体調不良の原因になるのです。

小麦はもともと FODMAPを多く含む食品 に分類されていますので、低 FODMAP の食生活にすることで、グルテンフリーよりも、さらに多くの「胃腸に負担をかける食品成分」を摂らないようにできます。その結果、腹痛、腹部膨満、下痢などを起こすリスクを、かなりの確率で減らすことができます。

最高のパフォーマンスを求められるプロスポーツ選手にとって、自分のからだを常に最高の状態に保っておくためには、胃腸に負担をかけるものは、食べないというが、正しい選択肢なのです。

 

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ところで、大谷選手の好物はクレープなのだとか! クレープだったら、グルテンの力を借りて膨らませたりする必要もないし、むしろ米粉でもちもちのおいしいグルテンフリークレープができますよね。

好きなものを食べながら、今後も無理せず、故障せず、試合に出て勇気を届けてほしいですね。

 

参考文献

1) Lis, D.M. et.al., Exploring the popularity, experiences, and beliefs surrounding gluten-free diets in nonceliac athletes, Int J Sport Nutr Exerc Metab, 25 (1) 37-45 (2015)